なぜ日本の医療機関では、Apple MacやFileMaker Proによって開発された電子カルテが好まれるのか、それはITベンダーの逆ITリテラシー不足のせいかもしれないとの声がある。確かにこれまでは一般的な企業のIT化においては表示ディスプレイの制約から紙帳票と異なる電子帳票を作り印刷においてのみ従来の紙帳票の様式を踏襲するというのが普通だったと思う。しかし、医療機関において電子カルテの普及率が数%しかなく、殆どが紙カルテのままである現状では紙の様式をコンピュータの画面上に構成する必要があるかもしれない。なぜならその記入が人命などにかかわるので、事務員のようにディスプレイだけに向かって仕事するわけにはいかないからだ。
それでは、どうしたらデジタルを紙と同じ扱いにできるのだろうか。プロセッサーの能力は劇的に進化したのでユーザーインターフェースも劇的な進化が必要のはずだ。iPhoneが爆発的なヒットをしたのは、使い手にストレスがなく使えるからだと思う。少なくともWindows系OSより使いやすい。
・紙は、ながら作業で書くことができる(デジタルは未だ不完全)
・タッチスクリーンとスタイラスペンは紙の書き質より劣る。(紙のような書き味の開発が必要)
・基本的には紙サイズのA4やB5、ハガキサイズなど紙の規格が表示できること。
デスクトップは、高解像度でA4一枚全体を表示でき、スクロールがないこと。
スクロールバーによる操作と表示は人間の眼にとって負担がある。(非生理的負担)
ページめくり(Page Turn)方式が良い、縦横表示はディスプレイを90度傾けると対応が可能。
非表示エリアに目線を移したい場合は、ペンによるゼスチャー操作などをする。
・キーボード、マウスによる入力もストレスがある
かな(又はカナ)やアルファベットによる手書き入力と漢字変換(FEP)連携がストレスが少ないかもしれない。
ジェスチャー等の入力は心理的ストレスが少ない
漢字変換も思考と無関係な変換候補が出るので心理的なストレスになる。
=>用途によって専門辞書に切り替える必要がある。
携帯電話の10キーによる文字入力はそのストレスから2-3文字の短縮言葉を若年層に増長させた。
PCのフルキーボードも習熟が必要で最初はストレスが激しい。(初心者にはつらい)
マウスもペンと異なり違和感(軽いストレス)が残る。(GUIもまだ発展途上)
・チェックシート形式の入力は簡素化できるが、詳細性,正確性が犠牲になる。
・ODF等の文書ファイルにもXMLフォームのテンプレート・レイヤーを用意し、入力された情報はXMLメタデータとしてXML-DB等の他システムへ渡しやすくする。
・発光するデスクトップ・ディスプレイは眼が疲れやすいので以下を推奨。
ノングレア(非光沢)タイプの方が眼が疲れにくい。
画面上のムラや歪の少ないもの。 コントラスト比が強くないもの。
デスクトップは24インチの1920×1200の高解像度 WUXGA (1920×1200)表示対応がA4見開き2枚を表示可能。
鮮やかな緑や明るい青が表現できる、Adobe RGBカバー率の高いもの。
ブラウン管は、微細なゴミを眼に飛ばすので疲れやすい。
反射型カラーTFTは屋外では見やすい。
(参考)最近は、輝度1800cd/平方mの“屋外で見える”液晶もある。
例えば電子カルテのように、対面式で使う必要がある場合は、タブレットPC(縦入力モード)でRIA(Rich Internet Applications)を用いた紙帳票そっくりなユーザーインターフェースで入力できるとストレスが少ないと思う。出力はPDFで追記単位で電子署名ができると用途が広がる。(監査レポートなども同じと思う。)余談だが、自治体の帳票の場合、部分的な電子署名も必要ではないだろうか。
環境を考えると、そろそろデジタルと紙を同一に扱う時代になるべきだと切に思う。
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